読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

珈琲との美味しい関係。

珈琲 エッセイ
小さい頃、珈琲の匂いすら嫌だった。
気持ち悪くなって、敬遠していた。
それなのに、仕事にせざるを得ない時期があった。
付き合ってみると、少しずつ豆の挽きたての甘い匂いにやられる。
どうしようもなく惹かれてしまう。
 
妊娠を機会に、誰もしりあいのいない街へ引っ越した。
そこは、スーパーも商店も何もかも住んでる人からしても半端な街だった。

ただ、唯一遠くからひとが来て休日には並ぶほど珈琲の美味しいお店がある。

都度都度豆を挽くので、お店の前を通るといい薫りがする。
いちど飲めば、コーヒーへの観念が変わるなんて評するひともいるお店だ。
季節のケーキと合わせた月替りの珈琲。
店独自のブレンドは何種類もある。
サンドイッチやパフェまであって、雑誌のセレクトまでぬかりない。
 
授乳が程々になって、ひとりの時間が出来た。
たまには近所で、と一度行ってみてすっかり気に入ってしまった。
コーヒーミルの音やひとの話し声、珈琲のいい香り。
すべて非日常で、ひとり時間に没頭出来る。
 
家でもこんな時間を過ごせないかな。
この味を毎日愉しみたい!
 
そう思って、ツールを調べ始めると豆を挽くミルだけでも電動・手動が何種類も。
ドリッパーやらフィルターも千差万別。
お湯を沸かすポットも、たくさん。
カフェオレもいいな、でもあわあわしたミルクも好き。フォーマーって幾ら? 
 
何がいいか分からない。
余りにもありすぎる。
第一、10人が10人元気がありすぎるという息子の世話をしながらそんな時間あったけ?
アレ、ナニをしたかったんだっけ? 
 
そう思うと、このひとり時間もワンカップの珈琲も愛おしく格別なものに思える。
非日常で、プロに淹れてもらうから美味しい。
それに、自分で入れるにはもう少し子育てが一段落してからでいいかな。
毎日飲むから、良い!とは私にとっては違う味なのだ。 
 
いまは、このペースと距離が美味しい関係なのかもしれない。