スニーカーのゆるさ、ヒールの緊張感。

私には、贔屓目かもしれないが格好可愛くて良くて気立てのよい妹がいる。
 
最近、焦げ茶やゴールドが混じった髪色で少し刈り上げにした彼女は以前にもまして格好良くなっている。
そしてボーイッシュに磨きのかかった彼女は、誕生日に伊勢丹でドクターマーチンを購入したらしい。 
 
好きな西村しのぶの漫画やこれまた男前な従兄妹が履いてるのしか見たことがないか、彼女にとても似合っていると思う。
それくらい、どこか厳ついけれど手入れが必要な格好良い靴だ。
今のノームコアというシンプルな服装の流行も相まって素敵。
 
そんな妹を持つ私の今の靴は、ニューバランスのねずみ色のスニーカーだ。

ちょっと前までスニーカーが大嫌いで、ヒールは8センチと決めていたのに。
甲高で幅の広い足のくせに、ピンヒールを背伸びして足を痛めてまで履いていたのに。
特に、「愛され系」が流行った頃にどっぷりおしゃれにハマっていたのでどうしても選んでしまっていた。
 
ところが子どもが産まれたら、ピンヒールなんてもってのほか。
ぺたんこのパンプスですら、踏ん張りがきかないのに気付かされた。
もちろん流行もあるが、離乳食で拭かれても平気な洗いざらしのシャツやら無印良品のジーンズとなるとパンプスは格好がつかなくなってくる。
 
そして、スニーカーのゆるさがたくさん子どもと歩ける自分と快適さをくれて何処まででも行けそうな気がしてくる。

ただ、おしゃれには自分の快適さもあるが装いは贈り物のような側面もある。
 
私がお酒をまた飲めるようになったら行くと決めてる幾つかのバー。
特に故郷の伝説のバーテンダーがいるところはドレスコードがある。
きっと、背筋が伸びる強いマティーニには、ヒールの緊張感が必要だ。